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家を買う時のマネープラン 第1回 購入予算の立て方

家を買うときのお金に関することで、最も大切なことは何か」
これは、住宅ローンの専門家にとってもとても悩ましい質問です。それは大切なことがたくさんあること、そして、それぞれの家計で重要となるポイントが少しずつ異なっているからです。そうはいうものの、一生に一度かもしれない家の購入で失敗しないために、知っておいてほしいことを考えてみました。
今回は3回シリーズの第1回です。

家を買う時に立てる2つのお金の計画

家を買う時のお金の話とは、住宅ローンのみのことだと考える人が多いようですが、それは間違いです。「家を購入するまで」と、「家を購入した後」の2つの計画を立てる必要があります。前者を「購入予算」、後者を「返済計画」とするとわかりやすいでしょう。
お金の計画を立てる時の主な注意点については次のようなものがあります。

(1) 家を購入するまで(購入予算)
(2) 家を購入した後(返済計画)

これらのポイントをすべて外さなければ、まず失敗することはないでしょう。この6つのポイントの中で住宅ローンについてじっくり検討するのは、およそ半分くらいです。つまり、住宅ローンだけをいくら勉強しても安心できる計画には絶対になりません。

自分の目で納得いくまで検証する姿勢が重要

これから住宅を購入しようとされる方(買い手)は、「家を買うのは初めて」という方が多いのではないでしょうか。そうであれば、家の購入に関するあらゆる知識がほとんどないのではないでしょうか。さらに、数千万円という高額商品の購入や、その規模に応じた数千万円のローンの利用も初めてでしょう。残念ながら、これらの知識や経験がないということは、圧倒的に不利に働きます。
というのも、人に言われるがままに購入予算を決めてしまい、その予算に対する責任感が希薄になりやすい傾向があるからです。

実は、家計に対して適正な規模の購入金額を決めること、そして資金調達や家計に対して適正な金額を決めることは、住宅ローンの専門家にとっても難しいことなのです。親や友人などの意見を参考にする人もいるでしょうが、経験談を聞くことはできても、適切な算出方法を知ることは、まず無理でしょう。

不動産や住宅を販売している不動産業者や、工事請負業者(ハウスメーカー)などが購入予算を提案してくれることもあります。それを参考にすることで、計画は具体化するのでとてもよいのですが、それはあくまでもたたき台と考えるべきです。
というのは、業者は住宅を購入するまでの提案は万全にしてきますが、返済計画の立案には、情報が不足しているため、適正な金額を算出することが難しいからです。そこで、自分自身で将来のライフプランを明確にしておかなければなりません。そうすることで、自分にあったお金の計画は初めて立てることができるようになるからです。

知識よりも常識

自分のことは自分で守るのが当たり前ですが、十分な知識や経験がなければ正確な判断などできない、という反論が聞こえてきそうです。でもよく考えてみてください。判断のために必要な知識をすべて覚えるのは現実的ではないし、日常生活においてさえ、すべての情報を入手して判断できることなどほとんどない、ということを。
家だとか、住宅ローンだとか、とかく難しそうな分野だからといって身構える必要はなく、最低限の知識さえ覚えておけば大丈夫です。お金のことで失敗しないためには、数千万円の買い物という特殊な状況に、緊張したり、委縮したり、興奮したりすることなく、冷静で、常識的な判断をすることがずっと大事なのです。

前述の通り、家計に対するコストやリスクの負担が過剰になっていないかどうか、論理的に考え、冷静に判断するのは、自分しかできません。多くの人は、「住宅ローンの返済金額と現在の家賃を比較して支払いが可能かどうか」で借入金額の適切さを判断しているようですが、これでは典型的な落とし穴にはまっています。
住宅を購入すれば、住宅ローンの支払いだけではなく固定資産税の負担が増え、将来的には修繕費用がかかります。それなのに「家賃が払えているから今後も支払いができる」などという楽観的な見通しは、論理的でなく、冷静に現実をみていません。こういう方は、結果として家計の負担能力をやや超えた計画を立ててしまいます。

また、将来におこりうる支払いについて、すべての情報を正確に調べる必要はありません。そういう時には、家を販売している営業担当者に情報提供を依頼してみましょう。 買い手が「購入後の情報がなければ買うかどうか決められない」といえば、販売する営業担当者は何らかの情報を必ず提供をしてくれるでしょう。

プロセスを変えるとミスが減る

ここで筆者が経験から学んだ方法をお教えしましょう。その方法はとても簡単なことで、長時間の学習をしなくても、失敗を効率的に回避できるようになります。
それは、住宅購入を検討する順番を間違えないことです。
大雑把にいえば、「(1)予算を立てる」「(2)諸費用を概算する」「(3)物件を検討する」の3つのプロセスがあります。
これを(1)→(2)→(3)の順番で検討し、最初に計算した予算は必ず守る、というものです。

まずは、予算を先に立ててからモノを検討する、という常識的な順番となっています。
実際の購入状況を聞いてみると、なぜか家を見てからお金のことを考えるという逆のパターンが多いようです。予算を立てずにモノを見てしまうと、欲しい家ありきの計画となってしまい、家計にとって過大な予算となっても無理をして買おうとしてしまいます。しかし。予算が決まっていれば、予算オーバーしている物件は見ない、という方法で避けることができます。

次に、諸費用は、総予算を決めれば、ほぼ自動的に決まります。およそ物件価格に対して5~10%程度の諸費用となるので、全体予算が決まっていれば、それを引くと、物件に配分すべき金額が算出することができます。

次に、総予算と諸費用が決まったら、物件予算が算出されるので、その金額を堅守することです。たくさん物件を見て気に入ったモノを見つけると、つい買いたくなるものですが、そこは心を鬼にしましょう。
どうしても予算を超えた物件を買うのであれば、その差額分は、くれぐれも現金で対応すべきです。もし、差額分を住宅ローンやその他のローンの増額で対応するとすれば、その後の家計はとても厳しいものになるからです。

今回は、主に予算のコントロールに関する内容をご紹介いたしました。

次回は、住宅ローンの選択に関する内容を紹介する予定です。

執筆者:淡河 範明(おごう のりあき)

ホームローンドクター株式会社代表取締役。
住宅ローンアドバイザー。銀行、外資系証券会社を経て、1997年に住宅ローン専業のコンサルティング会社の同社を設立。家を購入するための資金計画づくりと住宅ローンの選択について、金融知識と実務経験を活かし、将来の生活にゆとりを築くための設計をするサポートしている。住宅ローンの著書5冊、日経電子版コラムの執筆など。

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