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特集 地価の回復状況を探る・不動産投資市場

不動産投資市場は、投資家層の拡大や高い投資意欲を背景に投資対象が広がっている。東京のAクラスビルのキャップレートの低下は著しく、出値で3%を切る水準感も出てきた。半年前と比べても50bpsは下がっている現状に、「数年前では考えられないが、都心のオフィスで5%だと利回りが『ある』という感覚にさえなっている」と関係者は口を揃える。投資家が期待する利回りを求め、地方やオペレーショナルアセットに投資資金が染み出しており、地方中核都市を中心に取引価格はじわりと上昇基調に入っている。

14年6~8月にJリートが取得した資産は2421億3800万円だが、そのうち首都圏以外の地方に所在する資産取得は32.7%にあたる793億1700万円だった。オフィスでは、大阪や名古屋、仙台などで取得する事例が相次いでおり、なかには、大都市圏以外の地方都市に所在する一番ビルを抑える戦略に出るリートもある。東京である程度残高を積み、配当にはあまり寄与しないが物件平均の利回りを確保するため地方物件取得するケースも。資金調達環境がよい反面、投資目線に合う物件を取得できず、投資クライテリアを変更するか、もしくは外部成長のスピードを犠牲にするなど、判断を迫られる場面も少なくない。

オフィスで、まず最初に投資資金が向かった地方は福岡・博多だった。供給が少なく賃料のボラティリティが低いことなどから2年ほど前に注目を集め、「博多地場ファンドの組成を企画したものの、あれよあれよという間に価格が上がってしまい、結局は実現できなかった」というファンドもある。13年4月に「JT博多ビル」をアレンジしたシンプレクス不動産投資顧問は、足下のキャップレートは100bps程度低下しているとみる。今年4月には大阪・本町エリアでビル1棟を取得した。「2年ほど前に博多が注目されていた当時は、大阪や名古屋などやる人は殆どいなかったが、ここ1年、大阪のBクラス案件を中心に増えてきている」(シンプレクス)と話す。強気の賃料上昇を織り込んだ都心Aクラスでリスクをとるより、地方のBクラス案件を志向する動きもあり、実際、CBREが集計した13年の収益不動産投資実績は、大阪オフィスは前年比2.5倍、名古屋オフィスは4.7倍と大きく伸長している。14年第2四半期末の大阪グレードAのキャップレートは4.9%(ジョーンズラングラサール)に低下しており、直近では4.0%程度の取引も散見されるようになった。大阪・名古屋以外の仙台や札幌といった地方中核都市の案件を検討する機会が増えているようだ。

オフィスだけでなく地方レジのキャップレートも低下傾向にある。11年以降、3本のレジファンドを運用し、地方で物件を取得するイデラキャピタルマネジメントも「名古屋、大阪、福岡、札幌、いずれもキャップレートは随分下がった。直近では買いにくくなっており、より丁寧に拾っていく必要がある」と話す。1~2年前、地方案件といえばオポチュニスティックな資金が中心だったが、「もはやオポ同士の戦いではない。リートやコアファンドなどが相見える状況」(シンプレクス)となっている。

投資対象も拡大している。ホテルやヘルスケア施設、郊外型商業施設といったオペレーショナルアセットをはじめ、底地や区分所有物件のほか、ファンドによる開発や建替えを前提とした取得なども進められているが、投資需要の増加に伴い、いずれもキャップレートは低下傾向にある。競争の少ない一歩先を行く投資クライテリアの開拓に向け、文字通り東奔西走しているようだ。

キャップレートの低下が顕著なのはホテルで、「いくら立地がよくても5%以上は欲しい」とも言われるが、都内や近郊では4%台の取引も目立つ。高い観光需要が期待される京都では、06~07年の不動産投資額のうち概ねホテルは10%程度で、オフィスが40%、リテールが40%、物流が10%程度だったが、13年はホテルが40%、リテールが40%、オフィスが20%程度と様変わりした(JLL)。地方のオペレーションがよいホテルに興味を示すファンドは少なくなく、開発段階から取りかかるファンドも複数ある。

複数のリート上場が計画されているヘルスケアも、都内の大型ヘルスケア物件の取引では5%台に入った。20物件程度がまとまったバルクのディールでは「落札したところが上場に王手」(市場関係者)とあって白熱した模様。日本国内のローカルマネジャーとしてシンガポール証券取引所へヘルスケアリート上場を目指す玄海キャピタルマネジメントは、現段階においても病院を対象とするほか、開発プログラムを進めるなど国内のヘルスケアリートとはクライテリアを変えることで利回りを確保する。

郊外型商業施設や地方のロードサイド店舗などを検討するファンドも多く、「1~2年前は殆どみていなかったが、四国や中国地方もみるようになった」とするファンドもある。東京郊外の区分所有の商業施設も10億円台だったが私募リートが取得した。

(提供:日刊不動産経済通信)

 

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